クリアな緑と不透明な黄、銀化が美しい、西アジアのモザイク玉　700年～800年頃

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商品の説明

本品は、緑と黄緑、白などの美しいモザイク玉で、全体が風化して、所々に銀化彩色が見られます。クリアな緑と半透明な黄が交互に縦に並び、黄もその上に置かれたクリアな緑に影響され、黄緑となっています。緑と黄の帯を縦に交互に並べ、緑の細線2本の間に黄の帯を置き、植物の茎のような風合いや春の若草を思い起こさせます。
　胎には、孔に沿って多くの縦筋が見られ、植物の茎を思い起こさせます。長年の風化によって生じた縦筋の窪みはよく観察すると、黄ガラスの部分に生じているようで、窪みには細い金色や銀色の風化がはっきりと見られ、また、気泡崩れの小さな穴にも、銀色の粒が見られます（6，8枚目　ただし、金の細線は画像では再現できていませんが。なお、1、5枚目には光を当てています）。
　本品は、細長い中空カラス管を制作しこれを適度の細さまで引き延ばす、引き製法で制作されています。このために、胎には縦筋が多く見られ、また、胎の表面に見られる細長の穴は気泡が引き製法で延ばされた結果です。また、胎の両端には、引き延ばされたガラスが横に切断されて生じた線が、孔から放射線状に確認できます（3，5枚目）。
　縦縞模様のモザイク・ビーズは、少なくとも紀元前後、前1C-後1Cころから、5-6Cまで見られます。本品は、後700年から800年頃の制作とすれば、イスラム・ビーズが出現してきた時期に該当します。しかし、イスラム・ビーズが、特徴的な白黒モチーフを出現したころでも、イスラム勢力にササン朝が敗北したとはいえ、多色でアイ（中心）と放射紋のササン・ビーズが制作されたといわれます。
　　5-8Cのササン・ビーズでは、クリアな緑を放射線などの用いた緑と、また、不透明な黄を用いたビーズが見られますので、本品もササン・ビーズ系のモザイク・ビーズと推測できそうです。ただし、ササン・ビーズは、多くが芯に融解したガラスを巻き付ける巻き製法で主に制作されたようですので、縦長の切れ製法の本品と相違も見られます。
　緑と黄と銀化装飾の本品は、春の若草や植物を思い来させてくれる、若さを体現したビーズですし、同時に、後700-800年頃の、イスラム・ビーズと以前のササン・ビーズ、双方の推移、さらには、以前のモザイク・ビーズの継承も語ってくれる、興味深い銀化ビーズです。
　　サイズ：　高さ　約8ミリ、巾　約11㍉弱、孔径　約4.5㍉